アポロニア21
編集長コラム2020

10月号

外務省の初代情報調査局長を務めた岡崎久彦氏は、17世紀の英蘭戦争の戦訓から、バブルの余韻の残る20世紀末の日本社会に警鐘を鳴らしました(『繁栄と衰退と オランダ史に日本が見える』、文春文庫、1999年)。

急に繁栄を享受した国は、周辺の大国から嫉妬による攻撃を受けるリスクが高いという、日本というより現在の中国を彷彿とさせる教訓は、今も通用することでしょう。

また、地方分権や民主主義という、現在のリベラルな政治思想につながる価値観を生み出したオランダ独立戦争から、同盟国だったイギリスとの世界市場をめぐる対立で転落を余儀なくされるまでの過程は、生まれたての近代社会が非常に脆弱だったことを示しています。

オランダが独立戦争に踏み切らざるを得なかったのは、宗主国であるスペインでフェリペ2世が即位したことが理由とされます。熱心なカトリック信者として育ったため、プロテスタント国であるオランダを「悪魔の国」だと思っていたとか。悪魔の国を治めなければならないというのは相当なストレスでしょう。「国中を火あぶりにしてやる」と意気込んで統治したため、人々が一致して独立運動に駆り立てられたとのこと。

そんなオランダも、英蘭戦争でイギリスやフランスから攻め込まれた際には、国益より政敵を追い落とすことを優先したり、戦争中にもかかわらず軍縮してみたりと、現在でも見られるような政治の混乱を来し、覇権国からあっという間に転落してしまいました。

オランダは、近代社会の脆弱さを一番早く理解させられた国といえますが、ヨーロッパでもトップレベルの富裕国。そして、日本と類似の社会保険制度による公的医療システムを持ちつつ、受益者の利益と制度運営の効率性を両立させる工夫を凝らしています。

本号では、瀬戸口祐子氏のレポートで、オランダの医療保険制度の特徴を紹介しています。

特集は、診療・経営の常識を捉え直す内容です。「ウィズコロナ」の経営の方向性を、第一線で活躍されている6人のコンサルタントにお話しいただいた座談会も収録しました。併せてご一読いただければ幸いです。

(水谷)
9月号

コロナ禍でも、楽しみが増えることもあるものです。会社の近くの飲食店では、来店者が激減したのを弁当販売で補うようになり、多くのお店が参入しました。

おかずを3品選べて、ライス、みそ汁お替わり自由で1,000円の人気ランチを提供している居酒屋さんは、750円の弁当販売を開始。中でも、だし巻き卵などの総菜が「弁当クオリティー」をはるかに超えていて驚いたのですが、やはり原価率が厳しかったようで、緊急事態宣言解除とともに終了してしまいました。

「二度漬け禁止」の串カツ屋さんは、串カツ弁当の販売に乗り出し、「二度漬けOK !」と宣伝していました(弁当なので当たり前)。一度試してみましたが、串カツは弁当よりもカウンターで選んで注文するのが楽しいし、おいしいことを、あらためて感じました。

焼肉屋さんは、定番の「焼肉弁当」よりも、豆腐チゲやカルビスープなどの汁物にライスを付けた弁当に力を注いでいます。肉を弁当用に焼くと時間もかかりますし、店内ではランチで注文されにくい汁物を、弁当なら珍しさも手伝って需要が開拓できるだろうと見越したようで、実際、人気を保っています。 しかし、特に人気なのは、コロナ禍の前から「コンビニ弁当を食べてきた人にも、ちゃんとした日本のご飯を食べてほしい」と、食材にこだわった弁当を安く提供してきたお店や、やや割高ながら、店内のランチメニューと同じ内容のものを持ち帰れる洋食屋さん の弁当であるようです。

逆に、「13時以降は100円引き」といった価格戦略に出たお店は、一番売れる時間帯にお客を逃す結果になって しまっています。

ランチ弁当を通して、ウィズコロナの経営術の一端を学ぶことができたような気がします。 「新型コロナ特集」の第3弾は、コロナ禍を乗り切りつつある現場から、治療技術、在庫管理、資金繰りなど、第2波、第3波にも対応できるノウハウを紹介する内容。解答者が877人にも上る、東京歯科保険医協会のアンケー トにも注目です。

新型コロナ対策で大変な中、取材にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

(水谷)
8月号

学生時代、知人に誘われて行った就職説明会で、ある有名なジャーナリストが、マスコミ志望者を前に厳しいアドバイスをしていました。「自分の意見を安易に開陳するな。誰も君の意見など欲していない」というのです。

取材先の発言や発見した資料の内容を通して方向性を示唆するべきもので、「私はこう思う」という話には意味がないということです。「一介の記者が、国内外のあらゆる人を取材できるのは、それらの声を読者や視聴者に伝えられるからだ。自分を含め、記者自身に何らかの価値があるわけではない」とのこと。その場にいた学生たちが皆、シュンとなったのを覚えています。

私も紆余曲折を経て、歯科専門メディアの記者として20年以上の経験を積んできたため、時として「こう思う」的な発信をしてしまうことがあります。なるべく「私は記者なので、自分で実験したりして得た知見はありません。基本的には受け売りです」と断るよう心掛けてはいるのですが、「水谷がこう言っていた」と話が一人歩きしてしまうこともあります。

コロナをきっかけに、テレビやラジオで、かなり専門的な内容についても、「私はこう思う」と意見を述べる記者やキャスター、さらにはタレントなどの声に接する機会が増えた気がします。

ネット社会で、誰でも発信できる時代。まして、コロナ禍で社会の多くの問題点が素人目にも明らかになりました。「私はこう思う」という一方的な言説が氾濫するのは、ある意味で避けられないのかもしれません。多くの人が意見表明しやすい環境ができたこと自体は歓迎すべきですが、情報へのリテラシーが問われる時代になったといえるでしょう。職業的な情報発信者である私たちも、自省しなければと思っています。

7月号から連続で、コロナに関連する医院経営の現状や工夫を紹介する特集を組んでいますが、編集部によるレポートとして、「こう思う」を発信する記事も掲載しています。こうした、多少なりとも主張のある記事をまとめるのは、なかなかに難しいことなのだと、あらためて実感しました。

今月から、コロナ禍の現場の声を広くお届けするため、「読者の声」のページを拡大しております。お気軽に声をお寄せください。

(水谷)
7月号

「COVID–19の流行は、20世紀初頭のスペイン風邪流行と似ている」と言う有識者が多く見られます。さまざまな類似点が挙げられていますが、「世界的に社会の仕組みが大きく変わるだろう」という見方をする人がほとんどのようです。

スペイン風邪の場合、感染爆発の収束をきっかけに、多くの人に医療を配分する仕組みを各国が構築しました。第1次世界大戦の敗戦国であるドイツは、19世紀末にはすでに公的医療保険を成立させていました。これに倣い、1922年には日本が類似の制度を構築しています。

注目すべきなのは、公的医療制度が未整備とされているアメリカも、第1次世界大戦後に社会全体をカバーする医療システムを構築していた点です。民間医療保険を効率的に運用する健康維持機構(HMO)に代表される医療統合ネットワーク(マネージドケア)が成立したのが1920年代。これは、民間医療保険の加入者が急拡大した90年代に成長を遂げましたが、多くの被保険者を抱えたため、財政危機に直面することになりました。

これに対応して、医療機関への厳しいアクセス制限やリスク別の保険選択を通して、低所得者やハイリスク者の排除、高額医療給付の回避などを徹底するようになったのです。

COVID–19で多くの感染者、死者を出したアメリカについて、「まともな医療システムがないからだ」と指摘する意見も見られますが、他の先進諸国と同じような制度を考えていた時期もあるのです。ただ、「国家に管理されたくない」という医療者の思いが民間の管理組織を生み出し、欧州とは別の道を進む結果となりました。

アメリカの医療システムへの批判が世界中に見られる一方、各国で医療制度改革を議論する際、「HMOの管理体制を参考にしよう」という流れになりがちなのは皮肉です。

これから、各国の進む道にはさまざまな分岐点が現れることでしょう。そこで何を選択するかによって、最初は些細な違いだったものが、100年後には大きな差になるのかもしれません。

今月と来月の特集では、「コロナ禍」から多くの歯科医療現場が学んだことを紹介することにしました。ご参考になれば幸いです。

(水谷)
6月号

新型コロナウイルス感染症への対応で、歯科も大きく変化しようとしています。歯科大学ではオンライン授業が広がる一方、「オンラインで学習効果が期待できるのは一部だけ」という不安を示す大学関係者も少なくありません。また、実習ができない状態が続いてしまうことへの懸念も少なくないようです。

PCR検査に歯科医師も参加できるように制度改正されたことにも賛否両論があるようで、「歯科医師の地位向上につながるのでは」という期待感の一方、感染リスクが高い検体採取に不安感を示す歯科医師も多いようです。

PCR検査に限らず、感染リスクへの不安はスタッフにも広がっており、今回の感染拡大をきっかけに退職者が相次いでいます。問題は、それらの人たちが再就職を希望した際、経営者としては「また似たような状況になったら辞めてしまうかも……」と考えざるを得ない点。今後、「コロナ退職者」への処遇は大きな問題になるかもしれません。

「感染が不安」という退職理由そのものは、法的にも社会通念上も何ら問題はないため、そのことによって、退職者が不利益を被るようなことは避けなければなりません。まずは、退職を防ぐために十分に説明責任を果たすこと。そして、今回の新型コロナがきっかけで退職した人が安心して復職できるよう、感染予防対策を講じることが必要でしょう。

一方、「コロナ自粛」をきっかけに、患者数が減っている医院と増えている医院の二極化も進んでいます。

「不要不急の歯科治療を控えるように」という厚生労働省からの勧告が出ている中で、定期的なメインテナンスのキャンセルが相次いでいる医院が増加。「予防管理型」の大型医院はとりわけ影響大で、医業収入が対前年同月比で5割減になった例もあります。逆に、外出自粛で時間的な余裕が出来たので歯科治療を受けようと患者さんが増えた所も見られます。歯科界で、患者さんと人材の流動が始まりつつあるといえそうです。

今回の特集は、小児歯科診療に当たる臨床家の皆さまからのアイデアを集めました。「生身の取材」ができない中、ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございます。

(水谷)
5月号

「日本の新型コロナの重症患者がヨーロッパに比べて少ないのは、BCG接種の日本特有のやり方によるもの」という噂があります。真偽のほどはともかく、結核予防のための措置が有効だったとすれば興味深いところです。

かつてはBCG接種に先立ってツベルクリン反応試験を行っていましたが、このツベルクリン、実は検査試薬ではなく、れっきとした治療薬として認められていた時期があります。  1890年にロベルト•コッホが開発したツベルクリンを日本に導入する際、内務省衛生試験所と帝国大学病院の医師たちが、信頼性の低い根拠を基に薬事承認した経緯が、順天堂大学の月澤美代子氏によって明らかにされました(医史学誌、66〈1〉、2020)。

そもそも、有効で安全な医薬のみを流通させる薬事承認制度は、医師資格制度と同様、19世紀に列強諸国で整備されました。それまで、臨床医がそれぞれ自分の判断で「効く薬」「ダメな薬」と評価を下していたものを、法律に基づき、専門機関によって集中的に評価する制度が導入されたのです。

19世紀末のツベルクリンに対する臨床実験と薬事承認のプロセスは、日本における最初期の医療技術評価の事業だといえるでしょう。開発者のコッホが「初期の結核治療に有効」と主張するのに反して、当時、諸外国での評価は否定的なものが多かったようです。それに対し、日本の当局者は所定の条件に合わない動物実験と、信頼性の低い臨床報告だけで導入を進めたのです。

現在もなお、新薬の承認に関係した研究不正が発覚することがあります。現在、世界では「コロナ対策」を錦の御旗として、さまざまな薬や治療技術の開発が進んでいます。日本は、その中でもかなり有望な技術を持っているとして期待されますが、急がば回れ。こういう時こそ、原理原則に忠実な対応が、長期的な利益につながるのではないかと思います。

今月の特集では、Webとの関わり方をテーマに取材しましたが、感染予防の観点から、一部ではZoomなどを活用した取材を試みました。テレワークも模索中ですが、職業を問わず、長期的視点での創意工夫が求められていると感じます。

(水谷)
4月号

世界保健機関(WHO)は3月11日、新型コロナウイルスの感染拡大について、世界的な流行を意味する「パンデミック」だと述べました。大規模な都市封鎖がイタリアなどでも実施されており、社会に大きな影響をもたらしています。

14世紀の黒死病によってヨーロッパ社会に生まれたさまざまな制度は、現在の「コロナ対策」にも生かされています。検疫は「東洋から来た舟の、人と荷物を一定期間留め置く」という、ベネチアで始まった制度が最初。フランスではペスト対策のために保健所が発足し、国家レベルでの対策を講じる組織に成長していきました。

ロンドンの黒死病対策で有名なのが「死亡統計表」。各教区ごとに1週間の死者の数とそれぞれの死因をまとめて木曜日に発行するもので、何と16世紀から19世紀初めまで配布されていました。18世紀ごろの統計には「Teeth」「Dentition」といった歯に関係する死因が多く見られますが、歯科疾患ではなく、乳歯萌出時の胃腸疾患で死亡する乳児が多かったことを示しています。

この統計手法は、しばしば「医師でない素人が経験だけで病名を推定した」と批判されます。そのため、死因分析としては使えない代物だそうです。当時、正規の教育を受けた医師はロンドンでも極めて少なかったためですが、市民が保健の統計に参加してきた伝統があることは、大きなアドバンテージになります。

コレラや壊血病の原因究明などに生かされる疫学研究の分野で、イギリスが一歩先を行くことができたのも、本をただせば黒死病のおかげ……といえなくもありません。
「コロナショックで世界不況が訪れるのではないか」などの暗い予測も報じられている中、中国では持ち前の起業家精神とIT技術で急速なテレワークの普及が進んでいるとか。このことから、どんなことにもプラスに転じられる側面があるのではないかと期待しています。

今回の特集は、年頭から感染予防や掃除をテーマに企画していたところ、たまたまコロナ騒動と鉢合わせになりました。自粛ムードが漂う中、取材に応じてくださった先生方、ご協力いただきました広告主の皆さま、本当にありがとうございました。

(水谷)
3月号

今回の特集で、摂食障害をう蝕傾向などからスクリーニングして、正しく対処するよう呼び掛ける記事を掲載しました。

この中で重要だと感じたのは、アメを頻繁に舐めているせいでう蝕が多く発生していたとしても、摂食障害が疑われる場合、安易に「キシリトール使用製品に代えてむし歯を予防しましょう」などと指導してはならない、という点です。

アメの糖分でかろうじて生きている人もいるという事実は驚きでした。「むし歯予防」という歯科の観点だけでは、患者さんの命に関わることもあるのです。

 頻繁な砂糖摂取が生きるために必要だったのは、19世紀イギリスの工場労働者も同じ。「世界システム論」という立場の研究によれば、食間に「ティーブレイク」を入れる習慣は、お茶やお菓子の砂糖で最低限のカロリーを短時間で補給し、カフェインで目を覚ますためだったとされています。優雅な習慣に見えるティーブレイクは、元祖ブラック企業の経営術だったのです。

元は貴族やジェントリの間で行われていたお茶の習慣が、常識ではあり得ないほどの速度で貧困層にも広がったのは、産業革命の副産物だったということです。東洋からもたらされたお茶と、アメリカ大陸からの砂糖が、ギリギリで働く労働者たちを支えていたのは、当時、世界帝国だったイギリスでしか見られない現象だったといえます。

アメリカ合衆国が18世紀にイギリスから独立した際、大量のお茶を海に廃棄して、その後も「コーヒーブレイク」にこだわったのは、お茶の隠れた役割を知っていたためかもしれません。  新型コロナウイルスの流行が広がっています。厚生労働省では、エアロゾルでの感染が危惧されると注意喚起していますが、歯科はエアロゾルが極めて発生しやすい上、密閉状態の機械室でコンプレッサーを稼動させている医院も少なくありません。さらに、日本は中国などよりもゴーグル着用などのエアロゾル対策が定着していないとされ、こうした未知の感染症への脆弱さが懸念されるところです。

今月号のレポートを参考にいただければ幸いです。

(水谷)
2月号

 2月18日から21日にかけて、イランの首都・テヘランで第18回イラン顎口腔外科国際大会が開催されます。デンタルショーも併催される予定ですが、「予定通り開催されるといいのだが……」と不安になりました。

 イランは、ペルシャと呼ばれた古代以来、西アジアを代表する大国。良質なドライフルーツの産地でもありますが、昨年末からアメリカとの戦争が起こるのではないかと懸念されています。  国際大会のSaeed Nezafati実行委員長によれば、現在のイランでは、再生医療を含めた審美歯科、低侵襲外科治療の分野が注目を集めているのだそうで、大会のメインテーマにも低侵襲が掲げられています。

同じ日程で、ペルシャ湾岸地域のインプラントに関する国際シンポジウムも予定。海外講演者としてイタリア、インドなどから専門医を招き、サイナスリフトの最新術式をはじめとする講演が企画されています。  
 もちろん、国際情勢がここまで急変すると考えられなかった時期に検討された企画だと思いますが、これから超大国と戦争になるかもしれない、という緊迫感は感じられません。  国際的な緊張状態が理由で配慮したのか、それとも普段からイランではそういうものなのか。通常、この種のイベントで派手に掲示されることが多い協賛企業のロゴが、大会のホームページには全く見当たりません。また、1月にサウジアラビアで、2月にはUAEでと、中東では同じ時期に審美歯科やインプラントの国際大会が続くため、この企画自体、どこまで盛況が期待できるのかも不明です。
 そのため、日本メーカーがこのイラン国際デンタルショーに出展するのかどうか、今の段階では分かりませんが、状況が沈静化して、つつがなく開催されることを願っています。

 今回の特集では、「時短・効率アップ」をテーマにさまざまな分野から話題を集めました。切削量を最小限に抑える低侵襲のう蝕治療、脳の活動の日内変動を考慮した時間割、診療効率を上げるための医院デザインなどを取り上げております。編集部の仕事の効率化につながった記事もありますので、先生方の日々の診療や医院経営の参考にしていただければ幸いです。

(水谷)
1月号

 あけましておめでとうございます。このところ、さまざまな「都市伝説」が科学的に再検討される流れがあり、オリンピックイヤーとなる今年も、検証が進みそうです。  身近なものでは、「床に落ちた食べ物は3秒以内に食べれば大丈夫」「グラスの形で飲酒のペースが変わる」「ネクタイは身体に良くない」といった噂がありますが、これらを検証した研究も存在します。
 内科医の倉原優氏の『本当にあった医学論文』(2014年、中外医学社)に収載された海外の論文で、次のようなことが実証されています。

  • •床に落下した直後は、雑菌が最も食べ物の方に移動している
  • •飲み口が大きく底が小さいグラスの方が、飲酒のペースが落ちる
  • •ネクタイをきつく締めると血管反応性が低下する

中には、国際的に権威が認められている雑誌に掲載された研究もあり、世界中で「都市伝説」の実証的な批判に取り組んできたことがうかがえます。

 さて、この度、歯科界の諸問題に長年切り込んできた「安田登編集室」、久保寺司先生によるデンタルショーレポート、私の大阪歯科大学での講義内容をまとめた書籍『歯科医療のシステムと経済』を上梓しました。  
 第1章では、「医療は18世紀にお金で買える商品になったことで発展した」というところから説き起こし、「歯科は医科から排除されている」「保険診療では十分な治療ができない」「高齢化で社会保障が立ち行かない」などの「都市伝説」を再検討しています。検証の時代にマッチした内容になったと自負しています。ご一読いただければ幸いです。
 本誌も、「定説といわれていることは本当なのか?」という検証の気持ちを大切にしながら、誌面作りをしていこうと思っております。  
 今回の特集では、歯科技工所、電子カルテメーカーなど、医院の外部のノウハウを生かす取り組みを紹介しました。多数の取引先を見ているラボやディーラー、メーカーには「繁盛医院」になるためのコツが蓄積されているので、ぜひその知識をご活用いただければ幸いです。

(水谷)